住宅ローンのプランを選ぶのは大きな悩みですよね。
長い支払期間を踏まえると最終的な支払金額は大きく変わりますし、それは日々の生活にも影響するということです。
実際にローンを契約する時に変動金利や固定金利を選ぶにあたって、よく話題になるのがミックスローンです。
ミックスという言葉を見ると、ただでさえ選ぶのに迷うローンが余計に分かりにくくなってしまうのでは・・・なんて感じる人もいるかもしれませんが、そんなに難しい話ではありません。
本当にお得なのか、どんな人にオススメなのかをまとめました。
ミックスローンとは
ミックスローンというのは、名前の通り金利のプランをミックスする契約を言います。
例えば、3000万円のローンを契約したい時に、1500万円は変動金利にして残りの1500万円は20年固定にして・・・という具合ですね。
変動金利の方が金利が安いから魅力だけど、もし将来金利が上がった場合に不安だと言う人は半分だけ変動金利にして不安を減らすという使い方が考えられます。
逆に、固定金利にしたいけど今後も金利が低いままだったら損するから不安だと言う人も、半分だけ固定にすれば残りの半分は低い金利でお得になります。
変動か固定かをハッキリ決められない人には丁度良いバランスになるということですね。
もちろん良い部分もあれば悪い部分もあるので、メリットとデメリットを順番に見ていきましょう。
ミックスローンのメリット
まずはメリットからです。
損失の最大額を減少させることができる
大前提として、今の低金利が将来もずっと続くと思うのなら変動金利で35年間返済するのが一番お得です。
しかし、さすがに35年間も低金利が続くわけないのでは・・・と考える人もいますよね。一方で、35年の固定金利で契約してしまうと低金利が続いた場合は損するのです。
しかも数百万円の差がでますから、この選択は慎重にならざるを得ません。予想が当てられるなら簡単なんですけどね。
ミックスローンは金利を合わせることで、金利上昇が起こった場合でもダメージを軽減し、起こらなくても低金利の恩恵をある程度受けることができるというメリットがあります。
損した時の最大額を減らせるというのがメリットなのです。
よく言われるのは全期間固定金利にすると安全という話ですが、別に安全でもなんでもありません。全期間固定金利というのは、仮にこのまま低金利が続いた場合は大損するのです。
バブル崩壊後はずっと低金利ですから、その間に固定金利で住宅ローンを組んだ人は悲惨な結果になりましたからね。
大損する可能性がある時点で安全ではないので、損してもそこそこになるミックスローンの方が安全と考えることもできます。
変動金利も固定金利も予想が外れた時のダメージは大きいので、このダメージの上限を抑えられるのはミックスローンの良いところでしょう。
リスクとリターンのバランスを自分で決められる
そしてもう1つ重要なことがあります。
それは、リスクとリターンのバランスを自分で決められるということです。
ミックスローンというのは中途半端なものですが、その中途半端さを自分で決められるところが大きなメリットなのです。
例えば、将来危険だとしてもとにかく安くしたいなら変動金利にすべきですし、絶対安心がいいなら全期間固定金利にするべきです。
でも、少しなら危険でも安くしたいと考える人も多いはずです。その「少し」というのは人によって違いますよね。
ローンの2割なら許容範囲の人もいるでしょうし、6割までいける人もいるでしょう。
普通のローンだと銀行が決めたプランになってしまいますが、ミックスローンなら自分が許容できる分だけのリスクをとって支払金額を減らすことができるのです。
大きな借金を背負うわけですから、自分が納得した上でローンを組むのが正しいのではないでしょうか。
ミックスローンのデメリット
続いてデメリットです。
大きな損をしにくいが、大きな得もしにくい
メリットのところで損失の上限を抑えられると書きましたが、この逆がデメリットです。
損失は抑えられますが、物凄くお得になることもありません。
変動金利は低金利がずーっと続くなら物凄くお得です。固定金利は、金利が急上昇した時でも固定なのでお得です。
しかし・・・ミックスの場合はどっちに転んでもそれなりです。トップにはは慣れない永遠の2番手です。
銅メダルになることもないしビリになることもありませんが、絶対に1番には慣れないと言うのはデメリットと言えるでしょう。
手数料が高い傾向にある
もう1つのデメリットが手数料です。
銀行によって色々ですが、ミックスローンは普通のローンと比べて手数料が追加で発生することが多いです。まぁ銀行からすると作業が増えるから手数料アップ・・・って言いたいのだと思いますが、利用者からすると残念な感じです。
印紙税なんかも2つ分かかることがほとんどです。これはまぁ銀行だけのせいではないのでしかたないですけどね。
メリットはあっても手数料もそれなりにかかるので、手数料の金額を含めてトータルの支払金額を考える必要があります。
手数料が据え置きになるワンライティングミックスローン
ミックスローンは手数料が高い・・・なんて思った全国のみなさんのために、普通のローンと手数料が変わらないサービスをしている銀行もあります。
三井住友信託銀行のワンライティングミックスローンです。
この商品は、ミックスローンでありながら各種書類等を1通にまとめて書くことで普通のローンと同じ手数料でミックスローンを組むことができる優れものです。
申込日や借入日がミックスの双方同じでないとダメなのですが、そもそもローンを別々の日に契約する人もいない気がするので特に問題はありません(別々の日に手続きする方が面倒ですし)。
手数料のデメリットがなくなるのはとても良いですね。
実際にシミュレーションしてみる
それではいよいよ実際にどんな返済金額になるのかをシミュレーションしてみます。
普通に変動金利や固定金利で借りるのとどれだけ変わるのでしょうか。
シミュレーションの前提
まずはシミュレーションの前提です。
ローンの金額は3500万円にします。雑誌などを見ると東京の平均はもっと高いのですが、まぁ計算できればなんでも良いのでこれでいきます。
各金利は2016年の各銀行の金利を参考にしました。
変動金利:0.60%
10年固定:0.45%(11年以降は変動:1.35%)
20年固定:0.80%(11年以降は変動:2.15%)
35年固定:1.10%
なお、フラット35は団信が別で計算するのが面倒なので普通の銀行の住宅ローンで計算してます。
また、ミックスローンは手数料がお得なワンライティングミックスローンを使います。
35年間金利が変わらない場合
最初は35年間ずっと今の低金利時代が続く場合で考えてみます。
プラン | 支払総額 |
変動 | 38,812,034 |
10年固定 | 40,913,820 |
20年固定 | 41,890,683 |
35年固定 | 42,184,389 |
35年間ずーっと低金利が続く場合には、当然ながら変動金利が一番支払総額が少ないです。
それでは変動金利と35年固定金利をミックスした場合で計算するとどうなるのでしょうか。変動1750万円、35年固定1750万円の2つに分けてミックスローンにしてみましょう。
プラン | 支払総額 |
変動 | 38,812,034 |
10年固定 | 40,913,820 |
20年固定 | 41,890,683 |
35年固定 | 42,184,389 |
変動&35年固定 | 40,498,024 |
はい、ミックスローンだと10年固定よりもちょい安いくらいの感じになりましたね。中途半端と言えば中途半端ですが、二番手につけています。
10年後に金利が上がっている場合
続いて、10年後に金利が上がっている場合です。これまでの日本は金利を上げられる状態ではありませんでしたが、さすがに10年後には経済も良くなってるだろうというシナリオです。
10年後に店頭金利が1%上がっているイメージです。変動金利の場合には金利が上昇するのはもちろんですが、10年固定なども11年目からは金利がさらに上昇します。
この場合には支払額がどうなるかというと・・・
プラン | 支払総額 |
変動 | 42,310,299 |
10年固定 | 44,581,656 |
20年固定 | 44,392,116 |
35年固定 | 42,184,389 |
変動&35年固定 | 42,247,148 |
今回は金利が上昇するシナリオなので、35年固定が一番お得です。
そして、ミックスローンはまたしても二番手です!金利がそのままでも金利が上がっても二番手というミスター中途半端ですね!
ミックスローンは中途半端?
シミュレーションしてよく分かりましたが、ミックスローンは中途半端です。
永遠の二番手なので一番になりたい人には向かないことが分かります。
しかし、どんな時でも二番手なら及第点だろうと思える人にとってはとても良い選択ではなのではないでしょうか。
一番お得ではないにしろ、一番最悪なことにもならずにそれなりな点数がとれるというのはある意味では一番の安心です。
日本の金融政策も次々と変化しているので、どんな状況でも対応できるミックスローンは心強いです。
また、今回は変動金利と35年固定金利を半分ずつミックスしましたが、変動を多めにしたり固定を多めにしたり調整することで柔軟に金利をコントロールすることができます。
全部変動だとさすがに怖いから、1/3は固定にしておこう!
というように割合を考えた使い方もできるのです。
自分で計算するのが面倒な人は、銀行の担当の人にあれこれ計算してもらうのが良いと思います。
さらに・・・ミックスローンは繰り上げ返済を使うことでさらなる柔軟性を持つことになるのです!
繰り上げ返済を工夫するとお得になる
繰り上げ返済をご存知の方は多いと思いますが、ようは毎月のローンの返済を待たないで自主的にどんどん借金を返済することです。
金利が発生する借金が減ることにより金利支払い分も減少して支払い総額を効率よく抑えることができます。
普通にローンを組んでいると、繰り上げ返済というのは「やる」か「やらない」かの二択しかありません。
手元にお金を残しておきたければ繰り上げ返済はせず、1円でもお得にしたいならどんどん繰り上げ返済することになります。
しかし、ミックスローンの場合は少し異なります。
ミックスローンで繰り上げ返済をする時には、どのプランに対して繰り上げ返済をするかを選ぶことができるのです。
例えば、さっきのシミュレーションの例でいくと・・・
変動金利で1750万円、固定金利で1750万円借りていますよね。
繰り上げ返済する時には、2つのうちのどちらに対して返済を行うのかを選べます。
そこで、金利がずーっと低金利になっている場合には固定金利に対して繰り上げ返済し、金利が上昇した場合には変動金利に対して繰り上げ返済をするのです。
そうすると、その時の状況で不利な方のローンを減らせるので繰り上げ返済の効率がとても良いというわけです。
状況に合わせてよりお得な選択肢をとることができるようになります。
ミックスローンがおすすめの人
というわけで、ミックスローンに関して実際にシミュレーションもしながら色々と見てきました。
最終的にミックスローンがオススメな人をまとめておきたいと思います。
まずは、『物凄く得しなくてもいいけど、とにかく損するのは嫌な人』です。
ミックスローンは物凄くお得になるわけではないのですが、どんな状況でもそれなりの結果になるので大損することがなく安心を得ることができます。金利が上がろうが下がろうが二番手の点数を取ることができます。
次に、『繰り上げ返済するだけの余裕がある人』です。
繰り上げ返済を有効に活用するためには、極力金利がお得になるように操作しながら返済することが重要です。選択肢が多いと言うことは、色々な状況に対応できるということなのです。
繰り上げ返済用にたくさん現金がある人にとってはミックスローンはおすすめですね。
ミックスローンを検討する時にオススメな銀行
最後に、ミックスローンを組む時にオススメな銀行の紹介です。
手数料が変わらない!三井住友信託銀行
まずは途中でも紹介した三井住友信託銀行です。
この銀行の素晴らしいところは、ミックスローンでも手数料が1つ分であるワンライティングミックスローンがあるということです。住宅ローンの手数料というのはとても高いのでこれはかなりお得です。
ローンの金利もいわゆる店舗のある銀行の中ではかなり安い方なので、通常の住宅ローンでもオススメできます。
信託銀行というと富裕層向けのイメージがありますが、特に審査が厳しいというわけでもないので安心して申し込みましょう。
とにかく金利が安くて保障も強い!住信SBIネット銀行
続いて紹介するのは「住信SBIネット銀行」です。
この銀行の特長は金利が安くてサービスが良いということです。金利は変動金利も固定金利も最低レベルですし、契約者が死亡したり病気になったりした時にローンの支払いが不要になる保険もついてきます(全疾病保障付き団体信用生命保険)。
多くの銀行は死亡した場合の団体信用生命保険は無料なのですが、住信SBIネット銀行は病気で働けなくなったに時の支払不要特約も無料で付帯されます。
住宅ローンで一番怖いのは働けなくなることなので、これは心強いですね。
病気までカバーすると他の銀行だと金利が0.2~0.4%増えるので、これが無料というのはとてもお得です。
ミックスローンはもちろんですが、普通に住宅ローンを組む場合でも「住信SBIネット銀行」はオススメの銀行です。
まとめ
それではまとめです。
- ミックスローンは複数の金利を組み合わせた住宅ローン契約
- リスクとリターンのバランスを自分で決められるのがポイント
- 手数料は複数のプラン分かかる場合が多い
- 三井住友信託銀行のワンライティングミックスローンは手数料が通常と同じ!
- 低金利が続いても金利が上昇しても二番手の成績になる
- ミックスローンは繰り上げ返済を効果的に使用することができる
- ミックスローンは「得はしなくても損したくない人」にオススメ!
- ミックスローンなら手数料が安い三井住友信託銀行
- 金利やサービスを重視するなら「住信SBIネット銀行」も!
先が読めない状況では変動金利にすべきか固定金利にすべきか迷いますよね。
ベストな選択ではなくてもせめてベターな選択を・・・そんな人にはミックスローンがオススメです。