住宅ローンを組む時には、多くの人が団体信用生命保険(団信)に加入します。
民間の銀行だとそもそも住宅ローン商品に団信がセットになっていますし、そうでない場合でも加入しない人は少ないと思います。
なにしろローン返済中に何かあったら困りますからね。万一の保障は必要です。
従って、住宅ローンと団信というのは必須な組み合わせなのですが、実際には団信を使わなくても保障を確保する手段はあります。
それも、団信より安く。
目次
団体信用生命保険(団信)とは
まずは団体信用生命保険とは何かついて確認します。
団体信用生命保険は、住宅ローンを借りた人が亡くなってしまったり、高度障害や重病になった場合に残っている住宅ローンを代わりに支払ってくれるという契約です。
ようするに「もし死んだらチャラね」 という契約になります。
名前の通り保険なので、毎月一定のお金を払うことで万一の時に備えるという形になっています。毎月の支払額は色々ですが、概ね借入金額の0.3%くらいです。
支払う保険料は銀行によっては無料な場合もありますし、保険の内容によって有料な場合もあります。
また、保険なので健康に問題がある場合は加入できません。これは普通の生命保険と同じです。
団信には色んな種類がある
既に書いた通り団信は保険です。
保険と言うとすぐに思いつくのは死亡保険ですよね。死んだ時にお金がもらえる契約です。団信で言えば、もらえるお金=住宅ローンの残額ということになります。
一方で、保険の場合は病気になったりした時にお金がもらえる契約もありますよね。
団信の場合も、死亡時にに加えて三大疾病保障付とか七大疾病保障付、八大疾病保障付、すべての病気に対応する全疾病保障なども出てきました。
三大疾病というのは、がん、急性心筋梗塞、脳卒中です。
七大疾病というのは、がん、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変。
八大疾病というのは、がん、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎となります。
全疾病保障というのは、文字通りすべての病気です。病気で働けなくなったらローンがなくなります。
当たり前ですが、全疾病保障付保険が一番範囲が広くてお得なので最も良いです。
ただ、七大疾病付や八大疾病付は毎月の支払額が増える場合が多いので、どうするか検討が必要になります。
民間銀行では団信の保険料は無料
さて、団信の保険料は銀行によって異なると言う話がありましたが、多くの銀行の住宅ローンは普通の団信は無料です。厳密に言えば住宅ローンを借りる時の金利に含まれています。
なので、単に死亡した時だけローンが返済できれば良いと考えるのであれば、あまり意識する必要はありません。
一方で、民間銀行の場合は団信に加入できない場合は住宅ローンそのものを組むことができません。銀行からすると、仮に死亡した時に貸したお金を回収できないと困るからだと思います。
また、団信の内容は銀行によって差があるので注意しましょう。
例えば、三菱東京UFJ銀行では普通の団信は無料ですが、七大疾病保障付団信は有料です。
逆に住信SBIネット銀行は八大疾病保障付団信でも無料です。
民間銀行の場合は、無料でカバーできるのがどこまでの範囲かをよく調べましょう。面倒な方は全疾病保障付団信が無料で金利も低い住信SBIネット銀行がオススメです。
フラット35は団信なしでも契約できる
民間銀行の団信は無料ということが分かりましたが、フラット35はどうでしょうか。
フラット35は、団信がついていない住宅ローン商品です。
このため、例えば健康に問題がある人でも住宅ローンを組むことができます。
逆に言えば、団信をつける場合は有料になります。具体的にどのくらいの金額になるのか計算してみましょう。
例えば、3000万の借り入れで35年で返済したとします。
フラット35Sの優遇金利を使って当初10年は1%、11年以降は1.6%の金利で計算してみると・・・
35年間の総支払額はなんと205万4200円です!!!
民間銀行だとこれが無料なわけですから、ちょっと考えてしまいますよね。
ちなみに、三大疾病保障付だと313万8600円です。108万円も増えます。こうなると借りた金額の1割くらいの保険料を払うということになるんです。
でも、もしものことを考えると入らないというのは心配ですよね。
仮に返済中に死亡してしまったら大変なことになるからです。すぐに家を売ったとしても残金を返せる価格で売れるかどうかは分かりませんからね。
そうなると一家離散の破産なんてことにもなるかもしれません。
現実的には団信に入らないという選択肢は取りにくいんです。
フラット35は団信に入るよりも安くて良い方法がある
団信は高いけど、もしもの時は心配・・・
そんな人は多いと思いますが、実は団信よりも安くてもしもの時に備える方法があります。
それは、収入保障保険を使うことです。
収入保障保険というのは死亡保険の一種なのですが、死亡したあとの決められた期間の間は毎月一定のお金を受け取ることができるものです。
「死んだら保険金3000万もらえる」ではなく、「死んだらその後30年間は毎月10万円の保険金がもらえる」みたいなイメージです。
そうです、住宅ローンで毎月払っている金額と同じだけ保険金がもらえるように保険に入れば良いってことです。
例えば、住宅ローンで毎月12万円払っているとした場合は、死亡後に毎月12万円もらえる保険に入れば借金がチャラになるのと同じ効果があります。
普通に「死んだら保険金3000万もらえる」保険でも良いのですが、これだと残りのローンの金額に合わせて保険金を調整する必要があるので面倒ですしロスが出てしまいます。
収入保障保険の場合は、毎月12万円もらえると決めればあとは住宅ローンが終わるまで放置で大丈夫です。
そして、収入保障保険は団信に入るよりも保険料が安いという特長があります。
団信と収入保障保険を比べる
それではどのくらい安いのかを具体的に比較します。
まずは前提条件です。
年齢は30歳、借入は3000万、返済期間は35年。
フラット35Sの優遇金利を使って当初10年は1%、11年以降は1.6%の金利とします。
これでローンは毎月84685円の支払いになります。
ということは、毎月9万円受け取れる収入保障保険に入れば大丈夫ですね。
今回はチューリッヒ生命の収入保障保険プレミアムで試算してみます。
65歳まで月に8万円もらう契約をする場合は・・・月々の保険料は2896円です。三大疾病付きだと月々2976円。
これを35年払うとすると・・・2896×12×35=121万6320円です!
団信に入る場合はいくらだったかというと・・・205万4200円です。
ということは、収入保障保険を使うと80万円以上もお得ということになります!
会社によって保険料は異なるのですが、これだけ差があると普通に団信に加入するのは馬鹿らしくなってしまいますよね。
団体信用生命保険 | 収入保障保険 | |
死亡保障 | 2,054,200円 | 1,216,320円 |
死亡+三大疾病 | 3,138,600円 | 1,249,920円 |
ご覧の通り、支払総額には大きな差があることが分かります。
住宅ローンを契約した後に、改めて収入保障保険に入るという手間はありますが、それでも80万円もお得ならやってみる価値はあるのではないでしょうか。
フラット35も民間銀行も団信部分の金額をよく見ること
ということで、団信の部分でも支払額に大きな差がつくことが分かりました。
住宅ローンを選ぶ時には、金利に注目する人は多いと思います。しかし、団信の部分もお金を払っていくことに変わりはありません。
トータルでどれくらいお金がかかるのか、どんな時にローンがチャラになるのかはしっかりと調べてください。
特にフラット35の時は自分で自由に保険を選べるので、なんとなく選ぶともったいないですからね。
フラット35を契約するのにおすすめの金融機関
フラット35を契約する場合、手数料だけ見ると「優良住宅ローン」が一番です。
一方で、総合的に見ると「住信SBIネット銀行のフラット35」をオススメします。
手数料は1.0%なので最安値とは言えませんが、それ以上に大きなメリットがあります。
それは、病気で働けなくなった時に、ローンの支払いがなくなるオプションがあることです(料金は3000万円ローンの時で約16万円)。
先ほど書いた通り、他の銀行で三大疾病保障をつけると108万円も払う必要があります。
つまり、「住信SBIネット銀行のフラット35」だと100万円近くお得になると言うことです。また、普通にがん保険や医療保険に入る要理も圧倒的に安いです。
これだけの差があると「住信SBIネット銀行のフラット35」をオススメするしかないわけですね。
まとめ
それではまとめです。
- 団体信用生命保険(団信)は死亡した時にローンが免除になる
- 団信には死亡時や三大疾病など色々な種類がある
- 民間銀行は団信は無料だが、団信に入れないとローンが組めない
- フラット35は団信は有料だが、団信がなくてもローンが組める
- フラット35なら団信の代わりに収入保障保険にすべき
- 収入保障保険だと団信よりも圧倒的に安い
住宅ローンは選び方によって物凄くお得になったり、物凄く損したりします。
住宅は高い買い物なので、しっかりと比較をして少しでも負担を減らせるようにしましょう。